第11話OnAir~シーズン3・第11話~# 放送局駐車場、朝 (ギョンミン、車から降りる。電話中。) ギョンミン : うん。ごめん.... 重要な物なのにうっかりしてた.... 今日は会議があるから時間がなくて.......ごめん。頼むよ~。 (ギョンミン、放送局の中に入って行く。) #ギョンミンとヨンウンのアパート、部屋 ヨンウン : (電話を切って) 久しぶりに家でゆっくりしようと思ってたのに...フンッ。 #放送局駐車場 (ヨンウンの車、入って来る。) ヨンウン : (電話を掛ける) 私。着いたわ。上に行く? ギョンミン : いや、今休憩室にいるんだ。これから人と会うから。休憩室に来て。 ヨンウン : 分かったわ。 (ヨンウン、書類を揃えながら下りて行く。) #放送局休憩室 (ギョンミン、テーブルに座っている。女がギョンミンを見てためらい、近付く。) 女 : あの...イ・ギョンミン監督ですか? ギョンミン : (見る)..はい....? 女 : こんにちは。今度新しく入って来た新入アナウンサーです。入社してからずっとお目にかかりたかったのですが...ドラマ局と報道局は離れていて... ギョンミン : あ、どうも。.... でも、どうして...? 女 : (目を見開いて) ..はい...? あの...ファンなんです。ドラマをよく見ているんです。今後も良い作品を作り続けてください。 ギョンミン : ...はい...ありがとうございます。 女 : あの....(ノートを取り出す) サインを一枚だけお願いしてもいいでしょうか? ギョンミン : (ぎこちなく) ...サインですか?...こんなので.. (ギョンミン、ためらいながらサインし、サイン紙を渡す。) 女 : (笑って挨拶する) ありがとうございます。お疲れ様です。(目礼して行く。サイン紙を見て嬉しそう。) ギョンミン : (照れくさそうに立ち上がる) はい... (離れた所で見ていたヨンウン、目を細めて息を吐き出す。目に力を入れて歩いて来る。) ギョンミン : (ヨンウンを発見) あ!~ ごめん。時間を取らせちゃって。 ヨンウン : (腰に手を当てて見下ろす).... ギョンミン : (見て苦笑する) やめろよ。実際以上に腹が大きく見えるぞ。 ヨンウン : (自分のお腹を見下ろす。手を下ろしてつんとして座る) 誰のせいよ? ギョンミン : (笑い堪える) 何だよ? ヨンウン : (睨む) あなたと一緒に出勤しようかしら。 ギョンミン : (考える) ....どうして? ヨンウン : あー!....(扇ぐ) 暑い! ギョンミン : (笑いながら立ち上がる) 待ってて。 (ヨンウン、憂鬱そう。ギョンミンを目で追い、周辺にいる女達に目をやり、自分のお腹を見下ろす。ため息をつく。) (ギョンミン、飲み物を持って来る。) ギョンミン : (ふた取ってやる) はい。 ヨンウン : (口を尖らせ、受け取る) .... ギョンミン : (座って) どうした? ヨンウン : (脹れて、見る) あなたの職場が気に入らないの。 ギョンミン : 何で? ヨンウン : (脹れっ面をして) 女が多過ぎる。 ギョンミン : (呆れて) まったくもう...今更何言ってるんだよ。 ヨンウン : (憂鬱な悲しい目) こんな不様な姿でさえなけりゃ、そんな事は考えないのに... ギョンミン : (ヨンウンのお腹を見る) 不様な姿だって?(声を殺して) こんなに綺麗じゃないか。 ヨンウン : (口を突き出す) ...(脹れっ面をしてギョンミンを見る) (休憩室に女が入って来てきょろきょろ見回す。ギョンミンとヨンウンを見付けておずおずと近付く。) 女 : こんにちは。キム・ミンフィですが...イ・ギョンミン監督ですか? ギョンミン : (見て立ち上がる) あ、こんにちわ。 ヨンウン : (二人見る)....(目でギョンミンに問う) ミンフィ : (ヨンウンを見て) こんにちは。ソ・ヨンウン先生ですか?キム・ミンフィと言います。 ギョンミン : 去年のシナリオ公募当選作家。 ヨンウン : あ~ (ぎこちなく笑う) こんにちは。 ミンフィ : お会い出来て光栄です。大好きです、ソ・ヨンウン先生の作品... ヨンウン : (気分が良い。得意そうに) .... ありがとう。 ギョンミン : (笑いを堪える)さあ...(ミンフィに) 座って下さい。 (ミンフィ、座る。ヨンウン、きまり悪そう。) ヨンウン : (様子をうかがう) .... ギョンミン : (ヨンウンをチラッと見てミンフィに) 当選作を読んでみましたが、いいですね。連絡して来た人はいませんでしたか? ミンフィ : 二回電話がありましたが...まだ会う事は出来ていないんです.... (ヨンウン、横できまり悪そうにしている。きょろきょろ見回し、立ち上がってぶらついて入口の方へ行く。行く途中。入口の隣に置かれた鏡の中の自分の姿を発見。ヨンウン、ギクッとする。 'えっ!!!あれは誰??' 大きく目を見開いて自分の姿を上から下まで見る。周辺の様子をうかがい、すぐに鏡の前から退く。休憩室の中の女達とロビーを行き交う女達を素早く見る。唾を飲んで放送局出口に出る。ガラス窓に映った自分の姿に気持ちが沈む。頭を下げたまま早い歩みで駐車場に行く....) #休憩室 ギョンミン : それでは、一度やってみてください。まず企画案から上げないとならないので、シノプシスから書いてもらって... ミンフィ : はい、分かりました。 ギョンミン : 時間を下さってありがとうございます。(立ち上がる) ミンフィ : (立ち上がる)ありがとうございます。お疲れ様です。(目礼して行く) (ギョンミン、ミンフィのいた席の隣を見る。きょろきょろ見回す。出る。ロビーをきょろきょろ見回す。電話を取り出す。) ギョンミン : (きょろきょろ見回し続けている) .... ヨンウン : (消え入りそうな声で) もしもし... ギョンミン : もしもし?どこにいるんだ? ヨンウン : 車... ギョンミン : もう帰るのか?どうして何も言わずに出て行くんだよ。 ヨンウン : .... ギョンミン : もしもし?聞いてるか? ヨンウン : ....聞いてる。 ギョンミン : ....どうしたんだ? ヨンウン : 分からない。 ギョンミン : 急にどうしたんだ? ヨンウン : 急に気分が落ち込んだの。家に帰る... ギョンミン : (荒唐な) 一体何があったんだ? どうしたんだよ。 ヨンウン : 私も分からないんだから、聞かないで。惨めになるから... ギョンミン : ..何だって??? #ギョンミンとヨンウンのアパート (ヨンウン、玄関を開けて入って来る。脹れて居間のソファ-に座り込む。苦々しい表情...) オキシム : (部屋から出る) もう帰ったの?昼食を食べて帰って来ると思ったら... ヨンウン : (オキシムを見て、べそをかく) お母さん.... オキシム : (怪しげな) え?... どうしたの? ヨンウン : (声を上げて泣く) ウッ....お母様~~~~~~~~あ~~~~~~~~~~ #ギョンミンとヨンウンのアパート、夕方 (玄関口に立っているギョンミンとオキシム。) ギョンミン : (憂わしい) どういう事なのか、見当のつく事はある? オキシム : 私がどうして分かるの?入って来るなり泣き出すんだから... ギョンミン : (ため息) 一体何なんだ....(重い足取りで部屋に行く) (ギョンミン、部屋のドアを開ける。ヨンウン、ベッドに横向きに寝ている。ギョンミン、心配になり、近付いて見る。ヨンウン、目覚めている。) ギョンミン : 寝てるわけでもないのに、どうして無視するんだよ。人が来ても振り向きもしないで。 ヨンウン : (元気なく) 来てたの....? ギョンミン : (顔をしかめる) 具合が悪いのか?(横に座って額に手を当てて) 熱があるのか? ヨンウン : (大きくため息をつく) そういう事じゃないのよ.... ギョンミン : ....それじゃどうして?昼間、どうして何も言わずに出て行ったんだ? ヨンウン : .....(べそをかく) 私...死にたい... ギョンミン : (目が大きくなる) 何???? ヨンウン : (咽ぶ) とても惨めなの...死にたい... ギョンミン : (呆れて言葉を失う) ...... どうしてそんな...?ヨンウン.... #放送局庭、ベンチ (ギョンミン、電話する) ギョンミン : 一体どうしてああなるんだ? ソクヒョン : 死にたいって? ギョンミン : そうなんだ。いきなりそんな事を。どうなってるんだ... ソクヒョン : 彼女、今妊娠中だろう? ギョンミン : ああ。 ソクヒョン : 何ヶ月だ? ギョンミン : 来月出産予定だけど..? ソクヒョン : (息を吐き出して) それはな...おそらく産前鬱病だ。 ギョンミン : 何?鬱病? ソクヒョン : ああ。産後に掛かる産後鬱病はよく知られているけど、産前にも現われるんだ.. ギョンミン : そうなのか...? ...深刻なのか? ソクヒョン : ...ちゃんと相談してみないと分からないが、軽度で終わる事もあるし、ひどい場合には自殺する事も... ギョンミン : (驚く) 何だって?自殺?? ソクヒョン : (笑う) ひどい場合だってば。彼女はそこまでじゃないだろう? ...心配するな。 ギョンミン : (安心する) ....(ふと) しかし死にたいと言ってたのは...? ソクヒョン : それがちょっと引っ掛かるんだが...ま、本当に気になるなら一度連れて来るんだな。 ギョンミン : そうなんだろうか....?(心配になる) #ギョンミンとヨンウンのアパート、朝 ギョンミン : 一緒に行こう..な? ヨンウン : (ベッドに布団を被って座っている) イヤ。 ギョンミン : (ため息) 君の今の状態は鬱病なんだ。出産前に一時的に来る症状。 ヨンウン : (身動きせず前だけ見て) つまり...出産すれば大丈夫という事だから、それまで待てばいいじゃない。 ギョンミン : .... そうじゃなくて...(ため息) それじゃ、どうしてこんな診断をされるんだ? ヨンウン : 赤ちゃんのせいにするの?診断?赤ちゃんを生めば解決するんだから.... ギョンミン : (息苦しい ) それじゃ、それまでずっとこうしているのか?部屋から出ず、食事もせずに? ヨンウン : 食事は....するわ。部屋で... ギョンミン : このバカ..... #ソクヒョンの病院、院長室 ギョンミン : 意固地なんだよ、まったく...(ため息) ソクヒョン : ...いつからそうだったのか思い出せるか? ギョンミン : (考える)一週間前に用事で放送局へ来たんだ。隣にいたんだけど急に見えなくなって。 何も言わずに家に帰った。その時からだな... ソクヒョン : 放送局のどこへ来たんだ? ギョンミン : 休憩室。 ソクヒョン : お前はその時何をしていた? ギョンミン : 新しく始める短編の作家と会って議論してた。 ソクヒョン : 作家は女か? ギョンミン : ああ。 ソクヒョン : 若くて? ギョンミン : (目をぐるりと回して) ...そうだ... ソクヒョン : そこには他の女もいたか? ギョンミン : 女なら.... 放送局だから、そりゃいないわけは ....ないけど... ソクヒョン : 他には? ギョンミン : (考える) 彼女が入って来る前に女のアナウンサーが一人、俺にサインを貰いに来たけど... ソクヒョン : 当然若くてスマートだったな? ギョンミン : それは....そうだろう.... ソクヒョン : (手を組んでギョンミンをじっと見る)...... ギョンミン : ......(見る)......なぜだ? ソクヒョン : (情けなさそうに) ....そこまで言っても分からないか? ギョンミン : (眉間を狭める) ....? ソクヒョン : .....俺が考えるに、彼女は外貌にかなり気を使う人だった...そうだろう? ギョンミン : そうだ...俺と出会う前は、夕方6時以後は水しか飲まないほど敏感だった... ソクヒョン : 分からないか?..... ギョンミン : ....? ソクヒョン : イ・ギョンミン.... ギョンミン : (目を瞬かせる)..うん? ソクヒョン : .....突然頭が固くなったのか?分からないか? ギョンミン : (眉間に皺を寄せて考える) ...... (原作出処:sonkhj1116さんのブログ) ジャンル別一覧
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